2007 Fiscal Year Annual Research Report
惑星物質中の有機物・鉱物相互関係のミクロ・ナノ非破壊分析
Project/Area Number |
07J00647
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
癸生川 陽子 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 炭素質コンドライト隕石 / 赤外分光 / 有機物 / 鉱物 |
Research Abstract |
炭素質コンドライト隕石には数パーセント程度の有機物が含まれている.これらの有機物の構造や成因を調べることは,地球の生命の誕生や,他の天体での生命の存在の可能性を議論する上で重要である. これらの地球外の有機物の測定に際し,地球の有機物による汚染を防ぐことが重要な問題である.そこでまず,炭素質コンドライトを顕微赤外分光法により測定する際の地球由来の有機物による汚染の評価を行った.3種類の炭素質コンドライト及びこれらに多く含まれている鉱物を,顕微赤外分光測定用に調整した試料を,様々な方法で保管し,保管前後での赤外スペクトルの違いを比較して,有機物汚染の有無を調べた.その結果,含水鉱物を含むコンドライト,及び含水鉱物をシリコンゴムのマットが敷かれた容器内に保管すると,試料とマットは直接触れていないにもかかわらず有機物汚染していることがわかった.また,シリコンゴムのマットから出る揮発成分をガスセル赤外分光法で測定した結果,シリコンゴムから揮発するメチルシロキサンオリゴマーによって汚染が起こっていることが示唆された. 次に,コンドライト中の有機物が母天体などでの熱変成において,有機物と共に存在する鉱物がどのような役割を果たしたかを調べるために,模擬物質を用いてコンドライト母天体を模擬した環境での加熱実験を行った.比較的隕石中の有機物と構造の似ている地球の天然有機物である,フミン酸と,炭素質コンドライトに多く含まれている鉱物を混合して,加熱しながら顕微赤外分光装置下でその場観測を行った.その結果,粘土鉱物と混合したフミン酸は,フミン酸のみ,及びフミン酸に他の鉱物を混同したときよりも高温まで生き残ることがわかった.これにより,粘土鉱物がコンドライト中有機物を加熱から守ったことが示唆される.
|
Research Products
(2 results)