2007 Fiscal Year Annual Research Report
自由群の自己同型群の組み合わせ群論的,位相幾何学的研究
Project/Area Number |
07J00651
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 隆夫 Osaka University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自由群の自己同型群 / Johnson準同型 |
Research Abstract |
今年度は主に,自由群の自己同型群のJohnson準同型に関する研究を代数的な観点から行った.第一に,自由メタアーベル群の自己同型群に対するJohnson準同型の研究である.一般に,Johnson準同型は構成の仕方から単射であるが全射でない.従って,その像を決定するという基本的な問題がある,森田茂之氏の最近の研究により,自由群の自己同型群のJohnson準同型の余核には対称テンソルが現れることが知られている.しかしながら.Johnson準同型の余核を完全に決定することは依然として極めて難しい問題である.そこで,自由群の類似として,自由メタアーベル群について同様の考察を行ったところ,Johnson準同型の余核には対象テンソルしか現れないことが分かった.この結果は,森田茂之氏により発見された対称テンソルを新しく特徴付けるものとして注目をしている.今後は,これらの結果をもとに,Johnson準同型の性質を利用し,自由群の自己同型群との相互関係について研究を進めたいと考えている。 第二に,McCool固定化群のJohnson準同型の研究である.McCool固定化群とは,自由群の生成元のうち,1つ以外を全て固定するような自由群の自己同型のなす群である.McCool固定化群は自由群の自己同型群に比べ構造が簡易であり,組み合わせ群論的にも扱いやすい群である.そこで,Johnson準同型をMcCool固定化群に制限したものを考察したところ,その像を完全に決定することが出来た.さらにこの結果を利用して,McCool自己同型群のコホモロジー群に関していくつかの結果が得られた.現在はこの研究が自由群の自己同型群に応用できないか研究中である.
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