2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞増殖において必要な因子であるアネキシンA3の発現調節および作用機構の解明
Project/Area Number |
07J00658
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
原島 瑞 Nihon University, 生物資源科学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アネキシンA3 / 肝再生 / 肝細胞増殖因子 / 肝細胞増殖 / アネキシンA3結合タンパク質 / 抗肝細胞増殖因子抗体 |
Research Abstract |
アネキシンA3(AnxA3)はRNA interferenceを用いた検討から初代培養ラット肝細胞において増殖促進に関与することが明らかになっている。また、AnxA3の肝細胞増殖への関与は増殖が促進および抑制される条件においてAnxA3の発現がそれぞれ増加および低下することからも支持された。これらの知見を踏まえて本研究においては以下の点について検討を行った。 まず、肝再生におけるAnxA3の関与を明らかにすることを目的とした研究の一環として肝再生モデルにおけるAnxA3の発現について検討を行った。四塩化炭素(CCl_4)投与肝再生モデルにおいてAnxA3タンパク質レベルは6時間後に約3倍増加し、AnxA3 mRNAレベルは24時間後に約17倍増加した。6時間後のラットから分離した肝細胞においてAnxA3タンパク質およびmRNAレベルは約5倍増加したが、非実質細胞では発現は変化しなかった。70%部分肝切除ラット肝再生モデルにおいてAnxA3タンパク質レベルは20時間では1.6倍増加し、AnxA3 mRNAレベルは2.5時間後に約2800倍増加した。さらにCCl_4投与後におけるAnxA3 mRNAレベルの増加は、抗肝細胞増殖因子(HGF)抗体により約60%まで抑制された。これらの結果から肝再生モデルにおいてAnxA3はHGFを介したシグナル伝達経路を介して肝細胞で増加することが示されると共に肝再生への関与が示唆された。本知見は(Harashima Met al, J. Biochem.2008:印刷中)において報告した。 次にAnxA3の増殖における作用機構を明らかにすることを目的とした研究の一環として、AnxA3が増殖促進因子と結合し活性化する可能性に着目しAnxA3結合タンパク質の同定を試みた。CCl_4の投与によりAnxA3の発現を増加させたラットの肝臓から肝細胞を分離し、パラホルムアルデヒドによりAnxA3・AnxA3結合タンパク質複合体をクロスリンキングした。肝細胞抽出物の抗AnxA3抗体を用いたウエスタンブロットにおいてAnxA3に相当する分子量約37kDa以外に約110kDaにもバンドが検出され、約110kDaのバンドはクロスリンキングを解離させると消失した。以上の結果からAnxA3は分子量約70kDaのタンパク質と複合体を形成する可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)