Research Abstract |
本研究の目的は,環境にも人にも優しい動力で,中・近距離を移動する個人の新しい乗り物(パーソナルモビリティ・ビークル,PMV)を開発することである.PMVのコンセプトとして,自転車モード・平行二輪車モードの二つの形態を持ち合わせ,お互いのモードに変換可能で,状況に応じて使い分けることができる乗り物を提案している.自転車モードでは,人の力と電気の力を効率よく組み合わせて走行できるよう,ペダルをこぐことにより発電機で電力を発生させ,バッテリーに電力を蓄電する.発生した電力により,独立の前後車輪のモータを駆動させ,ドライブバイワイヤを実現する.また,ステアバイワイアにより,前後輪の操舵角を制御する.平行二輪車モードでは,操縦者はステップに立ち,倒立振子の安定化原理を用いた制御方式,すなわち重心移動により制御する. 自転車モードに関しては,前輪と後輪がともに操舵また駆動する2WS/2WD自転車を検討し,その運動解析,制御系設計を行った.既存の自転車と比較し,安定性が向上することを示した.これらの成果を国内外において,発表した.平行二輪モードについては,新しいシステムを提案し,その試作車の設計,試作を行った,試作車を用いて,制御系の効果を検討した,また,小径自転車や平行二輪車を含む様々なPMVが,歩行流に侵入した場合の歩行者への影響を実験的に求め,車両の安全性,人の親和性をまとめ,発表した.それらの結果を踏まえ,PMVが歩行者に与える心理的構成要素を探索的に把握する方法を提案し,より細分化した影響評価をするための実験方法を検討した.
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