2008 Fiscal Year Annual Research Report
キラルなホスフィンオキシドを有機触媒とする新規不斉反応の開発
Project/Area Number |
07J00692
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小谷 俊介 Kumamoto University, 大学院・薬学教育部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ホスフィンオキシド / ルイス塩基触 / 不斉反応 / 直接的アルドール反応 / 有機分子触媒 |
Research Abstract |
アルドール反応は,有機合成化学において最も重要な炭素-炭素結合形成反応の一つであり,生物活性物質の鍵反応としてしばしば用いられている.中でも、アルデヒド同士の直接的アルドール反応は,自己縮合や生成物の脱水反応,ならびに過剰反応などが生じることから,ケトンとアルデヒド間のアルドール反応よりも,その実現が困難であるとされる.申請者は,脂肪族アルデヒドと共役・芳香族アルデヒドの反応性の差に着目し,アルドール反応としては極めて困難とされているアルデヒド同士の直接的アルドール反応に拡張することに成功したので以下に述べる. 10モル%のBINAPO,1.5当量の四塩化ケイ素存在下,プロピオニトリル中室温にて,イソブチルアルデヒドとベンズアルデヒドを反応させたところ,望みとするアルドール付加体のみが良好な収率で得られ,中程度のエナンチオ選択性が観測された(87% yield,55%ee).本結果は,ルイス塩基を触媒としたアルデヒド同士の直接的としては初めての例である.さらにα,α-二置換非対称アルデヒド(2-メチルペンタナール)を基質とすることで,第四級不斉中心を持つジオールの合成にも成功した(80% yield,major/minor=2/1,49%ee(major)).本研究は,ルイス塩基触媒反応の適用系を飛躍的に拡張するものであるとともに,有機合成化学に新たな手法を提供するものである.
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Research Products
(1 results)