2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドロインデーションを鍵とする多段階タンデム反応の開発
Project/Area Number |
07J00708
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 直樹 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | インジウム / スズ / アレン / ジエン / アリル化 / メチレシクロプロパン / ラジカル環化反応 / ヒドリド |
Research Abstract |
新規ラジカル反応剤であるジクロロインジウムヒドリド、ヨウ化スズヒドリドの合成的利用に関する以下の知見を得た。 1 1,3-ジエンのヒドロインデーションを利用した位置選択的アリル化反応 ヒドロインデーションにより系中で発生するアリルインジウムを利用したワンポットアリル化反応を検討する中で、付加位置制御が可能であることを見出した。水の添加や加熱などにより、ケトンだけでなくアルデヒドにおいても2種類の生成物を作り分けることができた。1,3-ジエンを出発とした本手法は多置換アリル金属を容易に発生することが可能である。 2 アレンのラジカル的ヒドロメタル化および環化反応への展開 1,3-ジエンと同様に不飽和炭素結合を複数含む基質としてアレンに注目して検討した。インジウムヒドリドやヨウ化スズヒドリドが、アレンに対して一般的なラジカル還元剤であるトリブチルスズヒドリドとは異なる位置選択性で付加することを見出した。さらに分子内にラジカル捕捉部位を持つ基質においては、反応濃度を薄くすることによって定量的に環化生成物を得ることができた。トリブチルスズヒドリドではこの環化反応は進行せず、インジウムヒドリドの有用性が示された結果である。 3 ヨウ化スズヒドリドのメチレンシクロプロパンへの付加反応 メチレンシクロプロパンは様々な化合物に変換可能であり有用な化合物である。本研究ではヨウ化スズヒドリドが、前例のない選択性でラジカル的付加反応を起こすことを見出した。シクロプロパン環が開環する段階では、置換基の少ない方の結合が選択的に開裂し、合成的に有用なビニルスズを与えた。この反応性はヨウ素置換基によってスズ中心のルイス酸性が向上したことに起因すると考えている。生成物はそのままワンポットカップリング反応に適用することも可能である。
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Research Products
(4 results)