2007 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物における相同組換え制御因子の解析と効率的ジーンダーゲッティングへの活用
Project/Area Number |
07J00732
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
遠藤 真咲 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物科学研究領域遺伝子組換え技術研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | イネ / アラビドプシス / ジーンターゲッティング / 相同組み換え / 細胞周期 |
Research Abstract |
1.ジーンターゲッティング(GT)機構の解明 T-DNAを利用したGT系の利点の一つとして、複数の変異を同時にゲノムに導入できる点が挙げられるが、変異の位置や数がGT効率に及ぼす影響は明らかとなっていない。報告者は、イネゲノム中に、除草剤耐性を付与するALS遺伝子内の2点を含む、4点の変異を導入するGT系を試みており、H19年度は、点変異が飛び石状に導入された植物体を3個体見いだした。このことは、GTと共にミスマッチ修復も働いたことを強く示唆している。近年、アラビドプシスにおいてミスマッチ修復の変異体では相同組換え(HR)効率が向上することが報告されたことから、イネにおいてもミスマッチ修復の抑制がGT効率の向上に有効であると考えられる。この仮説を検証すべく、イネミスマッチ修復変異体の作成及びGT実験を計画検討中である。 2.細胞周期制御によるHR効率の向上 クロマチン構造や組換えの鋳型となる染色体の有無がHR効率に関与することが知られている。そこで、オープンな染色体構造をとり、姉妹染色分体の存在する細胞周期S-G2期の延長がHR効率の向上に有効であると考え、アラビドプシスを用いて、薬剤処理や細胞周期制御因子の改変がHR効率に及ぼす影響を解析したところ、DNA複製を遅延させるAphidicolin処理により、S-G2期の延長とHR効率の向上が観察された。また、G1/S,G2/M期の移行に関わるCAKのノックダウン植物体ではHR効率が低下し、DNA損傷に対して感受性を示すことが明らかとなった。CAK、CDKを介したリン酸化カスケードがHRに重要であるという酵母における報告も、この結果を支持するものである。今後は、CAKやCycD,CycAの過剰発現によりG1/S期の移行促進ならびにHRの活性化を図る予定である。
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Research Products
(13 results)