2008 Fiscal Year Annual Research Report
機能性アート錯体による芳香環化学の新反応・新現象・新機構
Project/Area Number |
07J00740
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
臼井 伸也 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Doc / Cuprate / Ligand-coupling / Oxidation / Muliti-template / Thalidomide / APN / PSA / TNF-α |
Research Abstract |
開発した芳香環位置・化学選択的銅アート錯体化反応DoC(Directed ortho cupration)反応の応用研究を行った。 (1)DoC反応機構解析:DoC反応は銅アート錯体のLi原子が芳香環上の官能基に配位しか後、TMP部分が芳香環上官能基に隣接する水素を選択的に引き抜き、芳香族銅アート錯体化する機構を経る事を明らかとした。また、その後の配位子変換反応は進行しない速度論的な反応経路を有する事を見出した。 (2)DoC反応を用いたC-O,C-N結合形成反応の開拓:あらたに開発した錯体(HMDS)Cu(TMP)(CN)LiNaを用い芳香族銅錯体を調製した後、C6Cl4O2にて酸化することで、新たなアミノ基導入反応を開拓する事に成功した。(TMP)2Cu(CN)Li2を用い調製した芳香族銅錯体をtBuOOLiを用いた酸化を行うことで極めて困難とされる位置ならびに化学選択的なOH基導入反応を達成した。 (3)DoC反応を用いたthalidomide誘導体の創製・活性評価:開発したDoC反応を用いthalidomide誘導体を創製したことにより、新たにAPN(aminopeptidase N)ならびにPSA(puromycin-sensitive aminopeptidase)選択的阻害剤、ヒト白血病細胞HL-60細胞分化誘導剤、TNF-a産生抑制剤を見出した。 DoC反応を開発するとともに、同反応をthalidomideをmulti-templateとした誘導体合成に応用することで、新たに種々の生理活性物質を見出した。Multi-template手法に反応化学を取り入れたことにより新たな創薬手法を提案ならびに例示することができたと考えられる。
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