2009 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛フィンガータンパク質の標的DNA配列への巻付き過程の解明と分子設計への展開
Project/Area Number |
07J00755
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森崎 達也 Kyoto University, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 亜鉛フィンガー / DNA結合様式 |
Research Abstract |
亜鉛フィンガー(ZNF)タンパク質は、その結合特性から人工的に新規DNA結合タンパク質をデザインする骨格として非常に優れているが、最も根本的な問いかけである、その標的DNAへの巻付き過程については殆ど研究が行われておらず、未だに明らかにされていない。今年度は、ZNFタンパク質の細胞内挙動を明らかにするため、FRAP(Fluorescence Recovery After Photobleaching)解析を行うことでZNFタンパク質の細胞内拡散に関する知見を得ることを試みた。Zif268タンパク質をもとにして、3、4、5、6及び9フィンガータンパク質を作製し、それらのFRAP解析を行った結果、フィンガー数の増加に伴って、核内での拡散速度が顕著に低下することが明らかとなった。これに対して、細胞質においては、ZNFタンパク質はフィンガーの数に依存せず速やかな蛍光回復曲線を示すことが明らかになった。DNA非結合型ZNFタンパク質をデザインし、FRAP解析を行った結果、核内においてフィンガーの数に依存せず速やかな蛍光回復を示した。ここで、6フィンガータンパク質とヒストンH2Bの局在を同時に観察したところ、6フィンガータンパク質がヌクレオソームが密でない領域、つまりクロマチンが比較的オープンな領域に分布する傾向が示唆された。ゲノム中の単一配列への標的化にはZNFのマルチ化が有効であるが、それと同時に、セミスペシフィック標的配列との強い相互作用を生じることもあり、結果として、細胞内での機能発現の遅延などの影響を及ぼす可能性が考えられる。このため、これらの細胞内挙動及び標的DNA配列への巻付き過程を明らかにすることは、今後人工マルチZNFタンパク質の機能を最適化する上でも重要な情報を提供するものであるとをえうれる。
|