2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00759
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
顔 宏哲 Osaka University, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | OP9システム / GATA-1 / LHX2 / 血液分化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、造血細胞の自己複製能と分化多能性獲得メカニズムを解明することにある。これまで、GATA-1欠損ES細胞の研究により、GATA-1のloss of functionは、未分化の赤血球の自己複製亢進と多分化能力再獲得をもたらすことがわかっている。また、特定のタンパクと結合できないGATA-1は血液細胞の自己複製能と分化の破綻から白血病を引き起こす報告から、いろいろな分化状態におけるGATA-1転写因子複合体形成が正常の血液分化に必須であることが考えられる。 (1)LHX2によるGATA-1転写因子複合体の形成阻害 OP9システムを用いてES細胞から血液前駆細胞への分化誘導し、その過程において、LXH2の過剰発現を行い、試験管内における自己複製能と分化能の変化を解析した。その結果、コントロールと比べて、LHX2を過剰発現することによって、血液前駆細胞をノーサイトカインの培養条件下で長期維持する事ができた。また、この血液前駆細胞は、サイトカイン刺激により、マスト細胞、好中球などのmyeloid系細胞にも分化する。同様のOP9システムで、赤血球分化への影響を調べた結果、LHX2が過剰発現した際も、コントロールと比べ、分化と成熟への影響は認められなかった。また、巨核球の分化においては、最終分化の段階に障害がみられ、血小板の形成が阻害されている事がわかった。 (2)LHX2によるGATA-1転写因子複合体の形成阻害 これまで、ヒト腎上皮がん細胞株293T細胞において、LHX2は、LMO2の分解を促進する事、および、GATA-1/SCL/LMO2の複合体形成を阻害しうることをみいだした。そこで、血液細胞においても同様な分解機構が存在するかを明らかにするため、現在、マウスの赤血球癌細胞株MEL細胞を用いて調べる事を計画中であります。MEL細胞には内在性のGATA-1、 SCL、 LMO2を発現している事から、GATA-1/SCL/LMO2の複合体が存在すると考えられる。したがって、LHX2を過剰発現する事によって、LMO2の分解促進とGATA-1/SCL/LMO2複合体形成阻害を引き続き調べる予定であります。
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