2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00759
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
顔 宏哲 Osaka University, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Lhx2 / ビオチン / OP9システム / 血液前駆細胞 |
Research Abstract |
今年度は、LHX2はいかなる細胞内蛋白因子と作用し、血液前駆細胞の増殖と分化多能性維待に寄与しているかを検討した。従来のタッグ抗体による免疫沈降法やTAP法での結合蛋白の検出に比べ、ビオチンとstreptavidinの強い結合アフィニティーの点に着目した。そこで、N末にビオチン化シグナルペプチドを有する融合蛋白Bio-LHX2を作成した。このシグナルペプチドは大腸菌由来のBirAによって、特異的に認識されビオチン化する事が知られているため、はじめに293T細胞でこの系を検討した。BirAとBio-Lhx2を共発現したあと、western blotでBio-Lhx2は強く特異的にビオチン化される事が確認できた。次に、streptavidin beadsで293T細胞エクストラクトと混ぜ合わせ沈殿し、ゲルに流し染色したら、いくつかコントロールと異なるパンドが見られた。従って、同様の手法で、BirAとBio-LHX2を共発現する血液前駆細胞から、LHX2と結合する蛋白をマス解析により解明する事が可能と考えた。 BirA発現ES細胞株を用いて、OP9ストロマ細胞との共培養を行い血液前駆細胞の段階で、Bio-Lhx2レトロウィルスで細胞を感染した。そのご、細胞はサイトカインなしの状態で培養した。三日から四日置きに血液細胞を新しいOP9ストロマ細胞に移り植え直した。植え直しごとに、一部の細胞をサンプリングし、ギムザ染色とサイトフローメトリーで評価し、血液前駆細胞の存在を確認した。 結果、Bio-LHX2による、長期維持可能な血液前駆細胞を得る事ができなかった。一つ大きな可能性としては、N末のLHX2にビオチン化をすることによって、タンパク質のコンフォーメーションに変化が生じ、一部の機能が阻害されたり、増殖、及び、未分化性を維持するに必須な細胞内因子との結合できなくなったとが考えられる。現に、LHX2はN末端のLIMドメインを介してほかの蛋白と結合して機能するとの報告があるため。今後の改善点として、C末にビオチン化シグナルペプチドに置き換えるか、LHX2に特異的に認識する抗体を用いての免疫沈降で行う事が考えられる。
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