2007 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類のMATE型有機カチオントランスポーターの構造と機能
Project/Area Number |
07J00772
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 拓也 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Multidrug and toxic compound extrusion / 有機カチオン / 薬物排出 / 基質認織メカニズム / 薬物間相互作用 / 精巣 / バリアント |
Research Abstract |
(1)マウスのtype-III型MATEトランスポーターの機能解析 マウスのtype-III型MATEトランスポーターであるmMATE2の機能解析を行うためにHEK293細胞に発現させ代表的な有機カチオンであるtetraethylammonium(TEA)の輸送活性を測定した。その結果、mMATE2も他のMATE familyのトランスポーターと同様にプロトンと有機カチオンとの交換輸送体であることを明らかにした。続いてその生理的機能を明らかにするために局在を調べた。その結果、精巣のライディッヒ細胞にmMATE2が存在することを明らかにした。これらの結果からmMATE2は精巣特異的な有機カチオントランスポーターであリ、ライディッヒ細胞においてステロイドホルモンの分泌に関与している可能性を示唆した。 (2)マウスのMATE1トランスポーターのバリアントの同定 マウスのゲノムデータベース上から見つかってきたMATE1のバリアント(MATE1b)の機能解析を行った。このバリアントはカルボキシル末端が30アミノ酸ほどMATE1より長いという特徴を持っていた。その輸送活性及び腎臓での局在を調べたところ、mMATE1と同様に腎臓に発現しており有機カチオン排出輸送体として機能していることを明らかにした。その長い疎水的なカルボキシル末端がタンパク間相互作用に関わっているのではないかと考え研究している。 (3)ヒトMATE1の基質認識部位の同定 ヒトMATE1(hMATE1)の基質認識部位を同定するために膜貫通領域に存在する4つのグルタミン酸残基をそれぞれアラニンあるいはアスパラギン酸に置換した変異体を作成し、TEAや1-methylphenyl-4-pyridinium(MPP)、cimetidineといったMATEの代表的な基質の輸送を速度論的に解析した。その結果4つのアミノ酸残基のうち3つが基質認識に関与していること、基質ごとに関わるグルタミン酸残基が異なることを明らかにした。この成果は薬物間相互作用等の臨床上の問題を考える上で有用な情報である。
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