2007 Fiscal Year Annual Research Report
刺激応答性ゲルのナノ構造制御によるインテリジェントアクチュエーターの開発
Project/Area Number |
07J00776
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
麻生 隆彬 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 刺激応答性高分子 / ハイドロゲル / ナノ構造 / アクチュエーター / 勾配 / 多孔性 / シリカ微粒子 / 湾曲 |
Research Abstract |
温度応答性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)は、水環境で駆動するアクチュエーター素子として期待されている。しかし、温度応答性ハイドロゲルを湾曲させる一般的手法はほとんど考案されていないため、これを開発することは意義深い。申請者は、一つのゲル内部にシリカ微粒子濃度勾配、もしくは空孔密度勾配を有するハイドロゲルは、温度変化に伴いゲルの収縮挙動の勾配によって湾曲すると考えた。シリカ微粒子分散プレゲル溶液を電気泳動後、ITO基板側からUVを照射することで、シリカ濃度勾配ゲルを作製した。シリカ濃度勾配の形成は、染色試験及びFT-IR/ATR測定により確認した。印加電圧および電気泳動時間を変化させることにより、シリカ微粒子濃度の勾配率は容易に制御可能であった。温度上昇に伴い、シリカ濃度勾配ゲルは、シリカ濃度の希薄な側へ湾曲した。これは、十分にシリカ濃度が高い場合、シリカ微粒子の存在がPNIPAAmゲルの収縮を阻害するためであると考えられる。さらに、印加電圧や電気泳動時間を増加させると、ゲルの湾曲は大きくなった。シリカ濃度勾配率を変化させることで、ゲルの曲率を容易に制御可能であることがわかった。このことは、シリカ濃度の勾配形成がゲル湾曲の駆動力となっている事を示唆している。さらに興味深いことに、HF処理によってシリカ微粒子を溶解除去した空孔密度勾配ゲルは、温度上昇に伴い空孔密度の高いほうへ湾曲した。本研究では、温度刺激に応答して湾曲するナノ構造勾配ハイドロゲルを合成した。さらに、シリカ微粒子また空孔の存在がゲルの膨潤収縮へ与える影響を詳細に検討することで、ゲルの湾曲メカニズムを実験的に解明した。
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Research Products
(6 results)