2008 Fiscal Year Annual Research Report
欧州統合とリスク規制政策過程における法と政治の関係
Project/Area Number |
07J00813
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
南 佳利 Kobe University, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リスク規制政策過程 / ヨーロッパ統合 / 司法政治 / 司法統合 |
Research Abstract |
平成20年度においては、本研究課題において追求してきた、食品安全政策や環境政策といった科学的不確実性を残す規制分野であるリスク規制政策過程と、司法機関の関係に焦点を合わせて、研究を進めた。国内外での一次文献資料の収集活動や、多くの先行研究の検討の結果、司法機関の政治過程への影響について、その一般的な可能性については、規制政策が立法を手法とする以上、司法機関が影響を与えることになることが示された。実際に、立法の事前においては判例法が、事後においては、種々の訴訟の解決になかで、影響が与えられる。この事例として、欧州連合(EU)のリスク規制政策を立案に限定して検討した。そのなかでは、EUの司法機関である欧州司法裁判所について、欧州委員会や理事会、欧州議会等の他の機関との関係が問題になるが、制度的に規定された自律性に基づく権力の行使が可能であることを示した。また制度的自律性のみならず、アイデア面においても自律性を持つことをも示した。例えば、「相互承認原則」「予防原則」の定式化においては、条約の規定を乗り越えて提示された欧州司法裁判所の判決が引用されることになった。成果としては、今年度、学術論文の公刊はなかったが、平成20年6月に慶応義塾大学で開催された日本上比較政治学会の研究大会における、「リスク規制政策過程における司法機関-EUにおけるヨーロッパ司法裁判所の影響を中心として-」と題する報告を行うことができた。また、その他に、対外活動として、平成20年10月に開催された日本政治学会と日本国際政治学会といった学会への参加を行った。また関西政治経済学研究会などの学外への研究会へ参加した。
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Research Products
(1 results)