2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属ガラスの変形・破壊の分子動力学シミュレーション:局所格子不安定性による検討
Project/Area Number |
07J00852
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西村 正臣 Kobe University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アモルファス金属 / 分子動力学 / 局所格子不安定性 |
Research Abstract |
本研究では,金属ガラスの変形・破壊のメカニズム解明を目的として,分子動力学を用いて種々のシミュレーションを行うとともに,各原子位置における原子弾性剛性係数の正値性(局所格子不安定性)という独自の視点から議論することを試みている.まず初めに,ひずみ・応力制御の違い,引張軸に対して垂直方向の拘束,ひずみ速度などの境界条件を変化させた種々の引張シミュレーションを行った.その結果,横拘束下の引張では,ひずみ・応力制御のいずれにおいても系全体の弾性剛性係数が不安定に達した時にアモルファス内部にボイドが発生することにより不安定挙動が生じることなどを明らかにした. しかしながら,これら全方向周期境界条件の下で行うバルク材のシミュレーションでは,せん断帯などの大域的な不均一変形が観察しにくい.そこで,自由表面を有する薄膜アモルファス金属の引張シミュレーションを行うことによって,アモルファス金属の変形の局所化挙動について検討した.その結果,Ni単元系アモルファスにおいては,応力-ひずみ曲線のピークにおいて,薄膜側面のくびれ部分から大きく結晶化が生じており,結晶化によって応力緩和が引き起こされること,結晶化することによってアモルファス中の不安定原子が安定原子へと遷移するために不安定原子が減少すること,NiA1二元系アモルファスにおいて結晶化は大きく生じないが,側面のくびれ部を起点としてせん断帯のような大きなひずみの局所化挙動が観察されることなどを明らかにした.
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Research Products
(5 results)