2008 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質構造変換酵素PPIaseによる遺伝子発現制御機構論の構築
Project/Area Number |
07J00857
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 塁 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子生物学 / 遺伝子発現制御 / クロマチン / 蛋白質構造変換 / 転写 / ヒストン / 生化学 / ヒストンバリアント |
Research Abstract |
Fpr4は全長蛋白質よりも、C末端側のPPIaseドメインを失ったヒストンシャペロンドメインのみの蛋白質の方が高いヒストンシャペロン活性を有する。このときPPIase活性の阻害剤であるラバマイシンを加えると、全長蛋白質のヒストンシャペロン活性が、ヒストンシャペロンドメインのみの蛋白質と同程度まで回復することを見出した。これはFpr4のもつヒストンシャペロン活性(ヌクレオソーム形成活性)に、自身のPPIase活性が影響を及ぼすことを示している。 このことから、Fpr4のPPIase活性の標的はヌクレオソームであり、Fpr4がヒストン蛋白質上のプロリン残基を異性化することを予想した。ヒストン上のプロリン残基の中からFpr4の基質となるプロリン残基を同定するにあたり、まずヒストン包括的点変異株ライブラリー(ヒストンのアミノ酸一つ一つをアラニンに置換した出芽酵母439株からなるライブラリー)の中からラパマイシンに対して感受性を示す株をスクリーニングした。感受性を示した株の点変異残基をヌクレオソーム上にマップするといくつかのクラスターが形成されていた。 それらラパマイシン感受性残基クラスターの近傍に位置するプロリン残基それぞれに対して、プロリン周辺5アミノ酸からなるペプチドを作成し、Fpr4が高いPPIase酵素活性を発揮する基質ペプチドを探した。結果、ヒストンH2Bのプロリン106(H2B-P106)を含む基質ペプチドに対し、Fpr4はほぼ最大限度のPPIase活性を発揮した。このことから、細胞内でもFpr4がH2B-P106を異性化することで、ヒストンの構造変換反応を担っていることが強く示唆された。
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Research Products
(1 results)