2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00859
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畠山 達 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | フランス文学 / フランス近代詩 / 教育史 / レトリック教育 / ボードレール |
Research Abstract |
本研究が非常に広範な範囲を扱うと同時に文学史と教育史に跨る学際的な研究であり、更にはフランスでも先行研究が殆どない為、本格的な分析に入る前に、今後の研究の参考となる書誌を入念に作成する必要があった。その為、昨年度は各方面における専門文献を参照し、取捨選択しつつ文献渉猟に専念した。学会等での発表が出来なかったのはこのような研究方法が取られていたからでもある。 結果的に国立古文書館に残された記録資料や教育に関する法案をまとめた文献とは別に、出版年度を基準にして計968点が含まれる三部に分かれた書誌を作成した。分類は19世紀初頭から1870年までの第一部(236点)、1871年から1960年までの第二部(207点)、そして1961年から今日までの第三部(525点)とした。第一部は教育史という分野が成立し始める時期でもある為、草創期の教育史を含めた教科書、新聞記事、小説、書簡、地方研究、自伝など多岐に渡った文献を集めている。第二部は普仏戦争での敗北、ジュール、フェリーの登場を機に教育の脱宗教化が目指されるのみならず、ラテン語作文がバカロレアを始め、様々な試験で廃止される至って古典教育の基盤が崩れる時期である。主要な文献は共和主義者と宗教擁護派が対立しつつも、教育の旧制度が実証主義的研究の対象となった19世紀後半から20世紀時前半点に位置している。第三部は漸く教育研究においてアナール派の精神が芽吹きだし、新しい歴史観を求めて教育研究が単なる制度の歴史から文化史、精神史へと発展する時期である。このような膨大な書誌と代表的文献の政治的、宗教的性格に鑑みた手引きが作成できたことが昨年度の大きな収穫である。
|