2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脳内の随意運動抑制過程に関する神経ネットワークの解明
Project/Area Number |
07J00860
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中田 大貴 Nagoya University, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 反応抑制 / 機能的MRI / Go / No-go |
Research Abstract |
本年度は、脳のどの領野において運動抑制がどのように行なわれているのかを明らかにするために、運動抑制とは対照の運動遂行が行なわれている脳部位に着目し、その比較によって、運動抑制と運動遂行の違いを検討した。実験の計測機器として、脳神経活動に伴う局所的な循環やエネルギー代謝の変化をとらえる機能的MRIを用いた。近年、特にここ10年の間に、著しい進歩を遂げた医用画像法の1つである磁気共鳴断層画像法の応用により、全く傷をつけずに、ヒトの脳がどこでどのように働いているかを外部から観察することが可能である。運動遂行・抑制過程を検討する際の課題として、これまで多くの研究で用いられてきたGo/No-go課題を用い、またその中でも一般的な視覚刺激によるものではなく、体性感覚刺激によるGo/No-go課題を行なった。実験課題は、動作Go/No-go課題と計数Go/No-go課題の2つを行ない、Go刺激(左手正中神経)ならびにNo-go刺激(左手尺骨神経)は50%:50%で、呈示された。ボタン押し課題と計数課題の共通の活動部位として、背外側前頭前野(DLPFC)、腹外側前頭前野(VLPFC)、補足運動野(SMA)、後頭頂葉(PPC)、下頭頂小葉(IPL)、島皮質(Insula)、上側頭回(STG)に活動が見られた。ボタン押し課題と計数課題の脳活動に関する直接比較では、一次体性感覚野-運動野(SMI)、補足運動野、前帯状回(ACC)が、ボタン押し課題において計数課題よりも優位な活動を示した。また、腹外側前頭前野は、計数課題の方がより優位な活動を示した。本実験の結果は、運動遂行機能には2つの神経ネットワークが存在し、反応遂行方法(ボタン押しなのか、計数なのか)に依存しない共通の部位と、課題特性に関連する部位があることを示唆した。
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Research Products
(6 results)