2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00862
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市居 修 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DCI)
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Keywords | MRLマウス / 賢臓 / 自己免疫疾患 / 糸球体賢炎 / コンジェニックマウス / 第1染色体 / 免疫複合体 / Mag |
Research Abstract |
自己免疫性糸球体腎炎は、血中を循環する免疫複合体が生体の濾過装置である糸球体に沈着することで発症する。本症は自己免疫疾患罹患者の予後を左右する病態であるため、原因因子の解明、早期診断法および治療法の開発が望まれている。MRLマウスは代表的な自己免疫疾患モデルであり、糸球体腎炎発症には複数の遺伝子座が関与している。本研究の目的は、MRLマウス由来自己免疫性糸球体腎炎原因遺伝子座を有するコンジェニックマウスを作出し、糸球体腎炎原因因子の同定および発症機構の解明を行うことである。 本年度はコンジェニックマウスの病理学的解析を中心に行った。コンジェニックマウスの作出にはすでに成功し、第1染色体約82-100cMがMRL型それ以外はC57BL/6型であることを確認している。当領域には複数の免疫および細胞増殖関連遺伝子が含まれる。本マウスをB6.MRLc1(82-100)と命名し、C57BL/6と比較解析した。腎病理組織標本を用いて糸球体病変を数値化したところ、B6.MRLc1(82-100)の糸球体傷害値はC57BL/6よりも高値であり、特に雌で重篤だった。免疫組織化学および電子顕微鏡観察によってB6.MRLc1(82-100)の糸球体にIgG含有免疫複合体の沈着が証明された。腎機能評価のために血中尿素窒素濃度、自己免疫疾患の指標として血中抗dsDNA抗体濃度を計測したところ、B6.MRc1(82-100)は両値共にC57BL/6よりも高値を示した。以上より、B6.MRLc1(82-100)は明らかに自己免疫性糸球体腎炎を発症しており、本症の原因遺伝子は第1染色体約82-100cMに存在すると考えられた。このMRL由来糸球体腎炎原因遺伝子座をMag(MRL autoimmune glomerulonephritis)と命名し、今後原因遺伝子の同定作業を進めていく。
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Research Products
(2 results)