2007 Fiscal Year Annual Research Report
カリウム漏洩チャネルによる神経回路構築制御機構の解明
Project/Area Number |
07J00863
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿部 遥 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小脳顆粒細胞 / 静止膜電位 / カリウム漏洩チャネル |
Research Abstract |
マウス小脳で成熟とともに発現が上昇するカリウム漏洩チャネルを同定するために、生後4日齢・8日齢・15日齢・21日齢のマウス小脳サンプルをPCR法によって調べた結果、6種類のカリウム漏洩チャネル(TWIK1、TASK1、TASK3、TREK2、THIK2、TALK1)を同定した。このうちTASK1は、小脳特異的に発現し、発現量も多く、また小脳で重要な成熟制御因子のCa^<2+>/CaM-dependent phosphataseのCalcineurin(CaN)によって発現が制御されていることも明らかにした。そこで我々は、TASK1が小脳顆粒細胞の静止膜電位制御に関与する主要なカリウム漏洩チャネルであると考え、TASK1に注目することにした。TASK1が顆粒細胞の成熟に関与することを示すために、顆粒細胞でTASK1をノックダウンし、その影響を観察した。顆粒細胞初代培養系で、TASK1のsiRNAを導入した結果、顆粒細胞の成熟マーカー遺伝子のいくつかが減少し、TASK1が穎粒細胞の成熟の一部を促進することを明らかにした。次に、小脳組織切片培養系で、プラスミド型のshRNAを導入してTASK1をノックダウンし、顆粒細胞の形態的成熟が阻害されるかを観察したところ、顕著な変化は見られなかった。従って、TASK1は顆粒細胞の形態的成熟には関与していないことが示唆された。現在は、形態的成熟について詳細を検討している。また、顆粒細胞でカリウム漏洩チャネルが発現し静止膜電位が下がると、その結果活動電位を起こすようになると考えられる。ナトリウムチャネル阻害剤のTetrodotoxin(TTX)で顆粒細胞培養系の活動電位を阻害した結果、成熟マーカー遺伝子の発現が顕著に抑制されることを見出した。現在、活動電位と成熟マーカー遺伝子の発現について解析中である。
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