2007 Fiscal Year Annual Research Report
宮城沖マントル内における蛇紋岩化域のマッピング-アスペリティ分布の起源-
Project/Area Number |
07J00915
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 揚二朗 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プレート境界 / 宮城県沖地震 / マントルウェッジ / 海洋性地殻 |
Research Abstract |
宮城県沖および福島県沖における2004年から2005年までの海底地震観測データを用いて,陸上観測点におけるデータと統合処理することにより,海底下に位置するプレート境界周辺の詳細な速度構造を推定した.拘束条件およびデータの重み付けを工夫することと,解析手法としてdouble-difference tomography法を適用することにより,これまで海域において困難であったS波速度構造の推定,およびVp/Vsの空間変化の検出に初めて成功した.また,震源再決定結果からは,プレート境界面を想定させるような明瞭な面をなす震源分布が得られた.これらの震源分布から,プレート境界の形状がこれまで以上に詳細にイメージできた. 震源分布を元に作製したプレート境界面を用いて,海陸プレートの識別を行い,それぞれの速度構造を解釈した.その結果,沈み込む海洋地殻については,全体的に高Vp/Vsで特徴付けられること,過去の宮城県沖地震の本震周辺のみ低Vp/Vsであることが明らかとなった.このことは,沈み込む海洋性地殻の中に速度構造不均質が存在することを明瞭に示す結果であるとともに,その不均質とプレート境界における地震発生との関連を示唆する.一方,陸側プレートのマントルウェッジに着目すると,1978年および2005年の宮城県沖地震震源域が低Vp/Vsであること,福島県沖においてはマントルウェッジ先端部が高Vp/Vsとなっている.この結果は,宮城県沖地震震源域におけるマントルウェッジの非蛇紋岩化および福島県沖マントルウェッジの先端部の蛇紋岩化を反映したものと考えられ,宮城県沖に比べて大きな地震が発生しない福島県沖では,先端部の蛇紋岩化によって破壊域の広がりが制限されていると解釈できる.このように,本研究で立てていた「蛇紋岩化していないマントルウェッジ領域と接するプレート境界が大地震発生域となる」という仮説の検証に前進した.
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Research Products
(3 results)