2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00961
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中野 道治 Gifu University, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カンキツ / 多胚性 / アポミクシス |
Research Abstract |
カンキツ多胚性に関わる分子生物学的機構解明のため、以下の研究を実施した。1.多胚性遺伝子座ゲノム領域の塩基配列決定:多胚性遺伝子座領域に位置づけられたBACクローン3種について、高速シークエンサー及びサンガー法を用いたショットガンシークエンスにより塩基配列を決定した。アセンブル・ギャップクロージングの結果、多胚性遺伝子座候補ゲノム領域は約400kbのドラフト配列によりカバーされた。ドラフト配列を用いてRICEGAASによる遺伝子予測を行った結果、領域内には79個のORFが検出された。この領域にSNPマーカーを設定し、カンキツ品種の多胚性に対してアソシエーション解析を行った結果、多胚性に対して極めて強いアソシエーションが検出され、候補領域内に多胚性の原因遺伝子が含まれる可能性が高いと考えられた。2.発現解析:多胚性品種・単胚性品種の開花当日の胚珠から得た全RNAを用いて22Kオリゴマイクロアレイにより解析を行った。胚性の異なる品種間で3倍以上の発現差を示す遺伝子を抽出した結果、22遺伝子が多胚性>単胚性、62遺伝子が単胚性>多胚性の発現パターンを示した。これらの遺伝子は、多胚性遺伝子座候補領域の配列に対して有意な相同性を示さず、原因遺伝子とは異なる機構で多胚性に関与すると考えられた。以上の研究を通じて、多胚性遺伝子座のゲノム構造を明らかにし、多胚性発現に関与すると考えられる遺伝子群を同定した。多胚性・アポミクシスに関して、原因遺伝子がポジショナルクローニングにより同定された例はこれまでに無く、関連する分子機構は明らかにされていない。本研究により得られた結果は、アポミクシス現象の理解に貢献すると期待される。
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Research Products
(2 results)