2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会的な知の身体への書き込み-メルロ=ポンティの身体論および「制度化」概念から-
Project/Area Number |
07J01042
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 雄飛 Osaka University, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 身体 / 制度主義 |
Research Abstract |
本年度は,フランスのパリ第10大学に研究者として所属し,制度主義教育学の研究グループに参加すると共に,実践校であるヌーヴィル校にて参与観察を行いました。 フランスではまず理論研究として,私の研究テーマであるメルロ=ポンティ思想の教育学的意義を考察するために,コレージュ・ド・フランス講義を精読する作業に取り組みました。具体的には,メルロ=ポンティの「制度化」概念に注目しながら,非意識的で受動的な主体の姿を教育学的文脈に位置づけることを目指した理論構築を行いました。論集『教育人間学の展開』の中の論文「制度化について」はその成果として発表したものです。 また,実証研究としては,制度主義運動を理論と実践との往還運動の中で検討するために,ラ・ボルド精神病院およびヌーヴィル校において参与観察を行いました。このフィールドワークにおいては,参与者の存在が制度そのものに与える影響について特に注目し,その成果をパリ第10大学で行われた研究会において発表しました。 この制度主義運動は,学校や病院などの施設において成員自らが制度を内部から変革していくことを基本に据えた取り組みであり,制度主義教育学と制度主義精神医学の二つからなっています。後者は近年,日本において紹介が進んでいますが,前者はいまだ研究の途上にあると言えます。それゆえ私の研究はこの制度主義教育学の日本への紹介・導入を目指したものとして,実践上の意義はもとより,教育史的な重要性を持つと考えられます。今後も本研究を鋭意進めていく所存です。
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Research Products
(3 results)