2007 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリアにおける光受容色素合成酵素の構造機能解析に基づく機能デザイン
Project/Area Number |
07J01065
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
萩原 義徳 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 構造生物学 / ビリン色素 / フェレドキシン依存性ビリン還元酵素 / ビリベルジン / PcyA / X線結晶構造解析 / 反応中間体 |
Research Abstract |
高等植物、紅藻、ラン藻において、ビリン色素は光受容色素、光合成色素として用いられている。ビリン色素はヘムの代謝産物であるビリベルジンIXα(BV)から、フェレドキシン依存性ビリン還元酵素(FDBR)によって合成される。FDBRファミリーのうちのPcyAはフェレドキシンから電子を受け取り、BVを2段階反応で部位特異的に還元する。すなわちPcyAは、まずBVのD環ビニル基を還元して18^1,18^2-dihydro-BV(18BV)を生成し、次に18BVのA環を還元してフィコシアノビリンを生成している。このことは、PcyAがBVの非対称性を区別し、還元順序をコントロールする特異な分子機構を持つことを示している。これまでの研究でラン藻Synechocystis sp. PCC 6803由来のPcyAおよびPcyA-BV複合体のX線結晶構造解析を行い、FDBRファミリーにおいてPcyAの立体構造を初めて明らかにした。これらの結晶構造を基にPcyAの活性残基や基質認識機構などを見出した。本研究では、PcyAのユニークな反応機構の更なる構造学的基盤を得るため、PcyA反応中間体の構造決定を試みた。まず、中間産物である18BVとそのアナログであるBV13を有機合成で準備した。各色素とPcyAを混合した複合体の結晶化を行ったところ、PcyA-18BV、PcyA-BV13複合体の結晶化に成功し、それぞれの結晶構造を1.48A、1.04A分解能で解析した。これら複合体の構造をPcyA-BV複合体の構造と比較すると、驚いたことに、活性残基のうちのGlu76のコンフォメーションが変化していた。すなわち、反応中間体におけるGlu76の側鎖は基質から離れ、Tyr238とAsn62の両方と水素結合を形成していたのである。この結果は、Glu76が基質の還元順序をコントロールしていることを示唆する。
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