2007 Fiscal Year Annual Research Report
多谷エネルギー地形モデルによるタンパク質の構造変化機構のシミュレーション研究
Project/Area Number |
07J01067
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡崎 圭一 Kobe University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | アロステリック効果 / リガンド結合 / 分子モーター / F1-ATPase / 粗視化モデル |
Research Abstract |
自ら開発したタンパク質の構造変化を記述するMultiple-basin modelを拡張し、リガンドの効果を取り入れたモデルを開発して、タンパク質の構造変化とリガンド結合の共役の仕方を解析した。その結果、相互作用の強さと相互作用距離のパラメーターに応じて共役の仕方が変わることが分かった。つまり、相互作用が強くなるにつれpopulation-shiftからinduced-fitに共役の仕方が変わり、相互作用距離も長くなるにつれbopulation-shiftからinduced-fitに共役の仕方が変わる。この結果から、実際に実験的にpopulation-shiftと示されているタンパク質・リガンド相互作用が接触面が小さく主に疎水性相互作用などの短距離力が主体であるのに対して、induced-fitと示されているものが接触面が大きく主に静電相互作用などの長距離力が主体であるということを見出した。このようなタンパク質の構造変化とリガンド結合をうまく記述する粗視化モデルは、他に例のない独自性の高いものであり、特に大規模な系のシミュレーションを行う場合に有効である。 さらにこのモデルを回転分子モーターF1-ATPaseに適用をした。この揚合、回転子であるγサブユニットの回転によってリングサブユニットの3つのヌクレオチド結合サイトの構造変化が起こりヌクレオチド状態が変化することで、うまく回転運動が起こると言われている。このようなγサブユニットの回転が引き起こすアロステリック効果に注目をした。具体的には、γサブユニットを任意の角度に拘束してADP結合サブユニットの構造変化を観察した。その結果、ADP阻害構造からγサブユニットを回転させるほどADP結合サブユニットがopen構造に構造変化してADPが外れやすくなることが分かった。
|