2008 Fiscal Year Annual Research Report
多谷エネルギー地形モデルによるタンパク質の構造変化機構のシミュレーション研究
Project/Area Number |
07J01067
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡崎 圭一 Kobe University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分子モーター / アロステリー / 構造変化 / リガンド結合 / F_1-ATPase |
Research Abstract |
自ら開発した、タンパク質の構造変化を記述するMultiple-basin modelとリガンドの効果を取り入れるImplicit ligand modelをF_1-ATPaseに適用をした。F_1-ATPaseは、リングサブユニットにある3つの触媒部位でATPを加水分解して、それによって得られた自由エネルギーから回転子γ-サブユニットの回転運動を生み出している。どのようなメカニズムで、化学エネルギーから力学エネルギーに変換されているのか、最近の実験またはシミュレーションにより明らかになりつつある。特にγ-サブユニットの働きに注目をすると、γ-dictator mechanismという考え方がある。これは、γの回転角度によって、各触媒部位のヌクレオチド状態が制御されているという考え方である。この考えを検証するために、まず、γの回転角とADP解離の間のallosteryについてシミュレーションを行った結果、γを正方向に回してやることでADPサイトがopen構造へ構造変化する速度が速くなることを示し、γとADP siteのβの間の相互作用が重要であることを示した。また、80回転を生み出すATP結合、ADP解離の間のallosteryについても解析をして、2つのプロセスのタイトなカップリングにγ-サブユニットの存在が必要不可欠であることを示し、また、γサブユニットの軸を削っていったときの回転への影響に関する実験結果(Furuike et al.Science 319:955(2008))を定性的に再現することができた。これらの結果はともに、γ-dictator mechanismを示唆している。
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