2008 Fiscal Year Annual Research Report
チオラト金属錯体をベースとする多重キラル効果の自在制御
Project/Area Number |
07J01069
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉成 信人 Osaka University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 含硫アミノ酸 / 多核金属錯体 / キラリティー / 集積構造 / アトロプ異性 |
Research Abstract |
1.これまで、含硫アミノ酸であるD-ペニシラミン(D-H_2pen)と14個の銅イオンからなるクラスター([Cu_<14>(D-pen)_<12>Cl]^<5->)が、種々の金属イオンにより連結されて、多様なキラル分子集合体を与えることを明らかにしてきた。今回、2つのD-H_2penを持つPd^<II>単核錯体(K_2[Pd(D-pen)_2])を新たに合成し、銀(I)および銅(I)イオンと反応させたところ、6つのPd^<II>イオンと8個のM^Iイオンからなる混合金属型14核クラスター([Pd^<II>_6M^I_8(D-pen)_<12>Cl]^<5->,M=Ag,Cu)が生成することがわかった。得られた2種類の混合金属型14核クラスターにランタン(III)イオンを添加したところ、銀イオンを持つクラスターは右巻き4回らせん鎖状に配列するのに対して、銅イオンを持つクラスターは二次元平面状に配列することがわかった。以上の結果より、クラスターのコア金属(Ag^I vs.Cu^I)の違いにより、14核クラスターの次元配列が大きく変化するという興味深い知見が得られた。 2.fac-[Rh^<III>(aet)_3](aet=NH_2CH_2CH_2S^-)と、等モル量の2,2'-bis-(bromomethyl)-1,1'-biphenylとのDMF中における反応から、fac-[Rh(aet)_3]部位に(C_<14>H_<12>)^<2+>基が結合したRh^<III>単核錯体を合成した。各種分析の結果、この単核錯体は、金属イオン周りのキラリティーと置換ビフェニル基のアトロプ異性との組み合わせから生じる4種の異性体の混合物であることがわかった。これらの異性体をカラム操作により分離・分割したところ、いずれの異性体も室温・水溶液中において1か月以上安定であることが判明した。
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Research Products
(5 results)