2009 Fiscal Year Annual Research Report
チオラト金属錯体をベースとする多重キラル効果の自在制御
Project/Area Number |
07J01069
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉成 信人 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 含硫アミノ酸 / 多核金属錯体 / キラリティー / 誘電特性 / オートカタリシス |
Research Abstract |
1.これまで、含硫アミノ酸であるD-ペニシラミン(D-H_2pen)と6個のMイオン(M=Ni^<II>,Pd^<II>)および8個のM'イオン(M'=Cu^I,Ag^I)からなるクラスター([M_6M'_8(D-pen)_<12>Cl]^<5->)と、La^<3+>イオンとの反応を検討してきた。その際、銅イオンを持つクラスターは、二次元平面型のキラル分子集合体を形成するのに対し、銀イオンを持つクラスターは、一次元らせん鎖型のキラル分子集合体を形成することが明らかとなった。今回、これら2種類のキラル分子集合体の誘電特性を調査したところ、極性結晶である二次元平面型の集合体は、高温-低周波領域において誘電応答を示すのに対し、非極性結晶であるらせん型の集合体は、誘電応答を示さないことが判明した。これにより、キラル分子集合体中におけるクラスターの次元配列の違いが、集合体の誘電特性に影響を与えるという興味深い知見が得られた。 2.Λ-[Co^<III>(L-Hcys)(en)_2]^<2+>(L-H_2cys=L-cysteine)とm-ジブロモキシレンとの反応により、2つのΛ-[Co^<III>(L-cys)(en)_2]^+ユニットがm-キシリル基により連結されたCo^<III>二核錯体を合成した。単結晶X線解析の結果、この二核錯体は、相補的な水素結合により連結された環状二量体構造を形成することがわかった。また、この二核錯体に[HgBr_4]^<2->を添加した場合には、二量体構造に加えて、一次元らせん構造も形成された。再現実験を繰り返した結果、これら2種類の集合体はランダムかつ排他的に生成することがわかった。これにより、2つの異なる超分子集合体における「超分子オートカタリシス現象」が初めて確認された。
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Research Products
(5 results)