2008 Fiscal Year Annual Research Report
リボヌクレオーム解析による酵母RNA修飾遺伝子の網羅的探索
Project/Area Number |
07J01080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野間 章子 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | tRNA / RNA修飾 / リボヌクレオーム |
Research Abstract |
tRNAのアンチコドン1字目、ウォブル位に存在するmcm^5s^2Uの2-チオ化修飾に関して、生合成遺伝子を5つ同定した(TUM1、UBA4、URM1、NCS2、NCS6)。今回組換えタンパク質を用いた生化学的な解析により、TUM1がcysteine desulfuraseであるNfslpを活性化し、システインのチオール基をpersulfideとして引き抜き、TUM1が受け取ることがわかった。UBA4とURM1は、タンパク質のウルミル化(ユビキチン様の翻訳後修飾)に関わることが知られている。E1酵素であるUBA4はURM1のC末端グリシン残基をアデニル化することで活性化し、TUM1のpersulfideを転移することで、URM1のC末端をthiocarboxylateに変換する活性を持つことが判明した。この活性化された硫黄原子がNCS2とNCS6が関与する2チオウリジンの形成反応に用いられると考えられる。この硫黄原子の運搬機樹は、persulfideの形でTusタンパク質がリレーする大腸菌の硫黄リレー機構とは明確に区別されるものであり、2-チオウリジンの生合成が生物種によって全く異なる反応メカニズムによって担われていることが明らかとなった。 tRNAのアンチコドンに隣接する37位に存在する修飾塩基であるyW修飾遺伝子に関しては4つの遺伝子を同定しており、TYW1,2,3,4と命名した。またyWの生合成経路に関しても解析している。このうち、TYW2、TYW4に関して、東京大学医科学研究所の濡木理教授らとの共同研究を行った。我々はまず濡木教授らの精製した古細菌TYW2を用い、出芽酵母のTYW2遺伝子破壊株から単離したtRNAをin vitroでS-adenosyl methionine(Ado-Met)存在下で反応させた。その結果、古細菌TYW2も出芽酵母と同様、Ado-Metのα-アミノ-α-カルボキシプロピル基を3環構造のC7側鎖として一気に付加する反応を担うことが分かった。TYW4に関しては、既にyW-72→yW-58→yWの反応を担うことを報告していたが、その最終反応に関しては基質や機構が不明であった。今回我々は濡木教授らの精製したTYW4を用いてNaHCO3およびその安定同位体を基質とし反応を行った結果、CO_2が側鎖に組み込まれ、さらにAdo-Metによるメチル化かおこなわれてyWが形成されることを明らかとした。このような反応は修飾酵素では初めての例である。
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Research Products
(4 results)