2007 Fiscal Year Annual Research Report
調和展開によるAdS/CFT対応及びその拡張についての研究
Project/Area Number |
07J01099
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊敷 吾郎 Osaka University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 弦理論 / 超対称性 / ゲージ理論 / AdS / CFT対応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、この世界に存在する四つの力(重力・電磁気力・強い力・弱い力)を記述できるような理論(統一理論)を構成することにある。超弦理論は統一理論の候補として期待されているが、その構成は非常に困難であることが分かっている。そこで、AdS/CFT対応という関係が注目されている。この関係は、超弦理論が超対称性を持ったゲージ理論によって記述される。という予想である。この対応が正しければ、ゲージ理論を用いて超弦理論を理解することができる。 本研究ではこれまで、この対応を示すために、ゲージ理論を調和展開することで定式化した。また、この展開を用いて、このゲージ理論が、ある行列模型と等価であることを示した。この等価性はAdS/CFT対応の成否を確かめる上で非常に重要である。なぜなら、この行列模型による記述を用いることで、強結合領域(相互作用が非常に強いような領域)においても物理量を計算することができると期待されるからである。原理的には、このような領域での計算結果を、超弦理論側の計算結果と比較することで、AdS/CFT対応の成否を確かめることができるのである。 今後、この行列模型によるゲージ理論の定式化を用いて、様々な物理量を計算することを計画している。例えば、超弦理論で見られるブラックホールの相転移が、ゲージ理論側の計算で確認されるかどうかを確かめたい。このような計算は弱結合領域ではすでに行われているが、本研究の手法を用いれば、強結合領域でも計算することができると期待される。
|
Research Products
(2 results)