2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01114
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉戸 敦生 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 鱗翅目昆虫 / シンジュ蚕 / Fosmid-FISH / 性染色体 / 比較ゲノム / カイコ / 遺伝子マッピング / ゲノム進化 |
Research Abstract |
本研究では、鱗翅目昆虫の染色体同定、カイコゲノム情報を基盤として遺伝子のマッピングを行い、染色体進化ならびに鱗翅目昆虫のゲノム比較研究へと展開させることを目的としている。研究対象種は、染色体数が2n=25-28と多様であるとともに性染色体システムが地域個体群ごとに異なることが明らかとなっているシンジュ蚕・エリ蚕種群(Samia cynthia subsp.complex)を用い研究を進めている。本研究年度では、前年度にシンジュ蚕(札幌個体群)より作製したゲノム(Fosmid)ライブラリーを用いたFosmid-FISHの実験系を確立し、Fosmidクローンを用いたFISHによりシンジュ蚕各地域個体群への遺伝子のマッピングを重点的に行った。具体的には、まずカイコゲノム情報を基にDOP-PCRもしくはESTのデータベース(SilkBase)により、シンジュ蚕・エリ蚕種群から80以上のシンジュ蚕オルソログ遺伝子断片をクローニングした。さらに前年度に実験系を確立したPCRスクリーニング法により、目的の遺伝子を含むFosmidクローンを選抜し、そのクローンをプローブとしたFISHによって各シンジュ蚕地域個体群染色体に遺伝子マッピングを行った。現在までに、約60のFosmidクローンのマッピングが完了しており、その結果、各染色体に少なくとも3つ以上の遺伝子をマッピングすることができ、シンジュ蚕において各染色体を同定し、カイコとシンジュ蚕2つの種での染色体比較もまた可能となった。また遺伝子マッピングによる地域個体群間の性染色体比較の結果、札幌・長野個体群が有している新しい性染色体(neo-sex chromosome)に連鎖している遺伝子も明らかとなった。これらの結果は、鱗翅目昆虫においての性染色体の分化・進化また染色体の再編成を考察する際に、重要なツールもしくは情報となることが期待される。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] 鱗翅目昆虫における染色体シンテニー解析2008
Author(s)
佐原健, 柴田洋, 藤川典子, 河合絢, 吉戸敦生, 田中(奥山)牧子, 神村学, 中野亮, 石川幸男, 安河内祐二
Organizer
PMB2008(日本分子生物学会)
Place of Presentation
神戸ポートアイランド
Year and Date
20081209-20081212
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