2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01114
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉戸 敦生 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 鱗翅目昆虫 / シンジュ蚕 / Fosmid-FISH / 性染色体 / 比較ゲノム / neo-sex chromosome / 遺伝子マッピング / ゲノム進化 |
Research Abstract |
本研究では、鱗翅目昆虫の染色体同定、カイコゲノム情報を基盤として遺伝子のマッピングを行い、染色体進化ならびに鱗翅目昆虫のゲノム比較研究へと展開させることを目的としている。研究対象種は、染色体数が2n=25-28と多様であるとともに性染色体システムが地域個体群(札幌・長野・ベトナム)ごとに異なることが明らかとなっているシンジュ蚕・エリ蚕種群(Samia cynthia subsp. complex)を用い研究を進めている。本研究年度では、前年度に引き続きシンジュ蚕(札幌個体群)より作製したゲノム(Fosmid)ライブラリーを用いたFosmid-FISHの実験系により、シンジュ蚕各地域個体群への遺伝子のマッピングを行いシンジュ蚕・エリ蚕種群における遺伝子の物理地図を完成させた。その結果、カイコとシンジュ蚕2つの種での染色体(ゲノム)の対応関係が明らかとなった。さらに遺伝子マッピングによる地域個体群間の性染色体比較の結果、札幌・長野個体群が有している新性染色体(neo-sex chromosome)に連鎖している遺伝子も明らかとなった。さらに本年度は、札幌・長野・ベトナム以外の地域個体群(豊田・岡山・高松・福岡・鹿児島)を採集し、これらの核型および性染色体構成を同定し、鹿児島以外4つの地域個体群の雌が、WZ/ZZの性染色体構成であることを明らかにした。また、それら4地域個体群のW染色体構成配列の一部をマイクロダイセクションによって単離・同定し、他の地域個体群との比較も行った結果、これら4地域個体群は、札幌・長野のneo-W染色体を構成している配列とは全く異なる構成配列のW染色体を有していることが明らかとなった。これらの結果は、鱗翅目昆虫においての性染色体の分化・進化また染色体の再編成を考察する際に、重要なツールもしくは情報となることが期待される。
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Research Products
(4 results)