2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01142
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
多根井 寛志 Osaka University, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金属超格子薄膜 / 異方性弾性定数 / 第一原理計算 / 共鳴超音波スペクトロスコピー / ピコ秒レーザー超音波法 |
Research Abstract |
高い垂直磁気異方性を示すため,高密度磁気記録媒体としての応用が期待されるCo/Pt超格子の弾性特性を理解することは,薄膜組織や磁性との関連を理解する上で重要な課題である.本研究では異方性弾性定数C_<11>およびC_<33>について,第一原理密度汎関数法を用いて理論的に求めた.また,超音波計測を用いて弾性定数を正確に測定することにより,第一原理計算結果の妥当性について検討した.第一原理計算では,Co/Pt超格子をモデル化し,構造最適化を行ったのちに弾性定数を計算した.弾性定数はエネルギをひずみで二階微分することによって求めた.実験では,面内弾性定数C_<11>を共鳴超音波スペクトロスコピー法,面外弾性定数C_<33>をピコ秒レーザー超音波法によってそれぞれ測定した.実験および計算結果から,以下のことがわかった:i)測定したC_<33>は計算値と4%以下の差で一致した.一方で,(ii)C_<11>については実験値が計算値を15-20%上回った.(iii)実験結果では,C_<11>はC_<33>よりも小さくなっており,これは複合則から予測される結果とも一致しているが,計算結果ではC_<11>がC_<33>を優位に上回った.すなわち,実験と計算とで弾性異方性が逆転した.第一原理計算によって得られた超格子薄膜の弾性定数を実験結果と比較した研究例は皆無であり,C_<33>が実験値と計算値とでよい一致を見せたことは特筆すべき点である.一方,C_<11>については両者の差が比較的大きく,実験値が計算値よりも小さな値となったことから,Co/Pt超格子が柱状組織を有する可能性が示唆された.また,第一原理計算によって得られた弾性異方性はC_<11>>C_<33>となっており,通常の薄膜が示す弾性異方性とは逆の傾向を示した.このことから,Co/Pt超格子薄膜は特異な弾性的特長を示し,これによって垂直磁気異方性が発現する可能性が示唆された.
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Research Products
(3 results)