2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01142
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
多根井 寛志 Osaka University, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ナノ結晶ダイヤモンド薄膜 / 金属ナノ薄膜 / 第一原理計算 / 共鳴超音波スペクトロスコピー / ブリルアン振動法 / 音響フォノン共鳴法 |
Research Abstract |
窒素ガスを微量に添加して作製したナノ結晶ダイヤモンド(Nanocrystalline diamond:NCD)薄膜は,窒素流量の増加と共にポアソン比が大きく増加するような異常弾性を示すことを,我々が独自に開発した超音波計測法により明らかにした.本研究では,この異常弾性を裏付ける微視的構造を探るため,第一原理計算によって実験結果の考察を行った.第一原理計算では,積層欠陥を含むダイヤモンド構造モデルを考える.これにより,NCD薄膜が示すsp3結合とnon-sp3結合とが混在する構造を構築することができる.この積層欠陥モデルの弾性定数を計算し,さらに等方体近似を施すことによって,積層欠陥がランダムに存在する構造の弾性定数を決定することができる.第一原理計算から得られた弾性挙動は実験結果とよい一致を示した.このことから,NCD薄膜の弾性には薄膜中のnon-sp3結合が支配的な影響を与えることを明らかにした. また,金属ナノ薄膜のフォノン振動についても研究を行った.ナノ薄膜に極短パルスレーザーによるポンプープローブ法を適用すると,薄膜が振動する様子を観測することができる.従来,この振動は連続体力学における共振現象であると理解されてきた.しかしながら,ナノ薄膜の厚さが高々30個程度しかないことを考えると,もはや連続体力学による議論は意味をなさない3本研究では,原子層が厚い真空層に挟まれたスラブモデルを構築し,第一原理計算によってこのモデルのΓ点におけるフォノン振動数を計算した.その結果,実験結果と計算結果は非常によい一致を示した.このことから,ナノ薄膜の振動がΓ点におけるフォノン振動であることを初めて証明した.
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Research Products
(2 results)