2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01156
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山名 裕介 Hokkaido University, 大学院・水産科学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マナマコ / 稚ナマコ / 棘皮動物 / 個体群 / 生態 / 夏眠 / 成長 / 増殖 |
Research Abstract |
修士課程在学中から取り組んできた大きなテーマの一つ,山口県におけるマナマコの個体群動態の解明を目的とする一連の研究では,長年にわたって確固たる知見のなかったマナマコの夏眠場の選択条件を解明するなど,多くの重要な知見を得ることができ,論文を発表する準備を整えている。また,山口県における稚ナマコの成長の調査を現在も継続して実施している。これが明らかになれば,個体群動態の基本的な情報が一通り出揃うことになり,山口県における資源増殖・管理計画の策定のために,有益な情報を提供することが可能になると考える。 北海道では一昨年から研究に取り組んでいるが,二年間に及ぶ調査にも関わらず,稚ナマコの住み場がほとんど見つかっていない。稚ナマコの分布に適した環境条件については,これまで山口県における調査から,生物的・物理的条件を明らかにしてきた。しかし北海道では,そのような条件を満たす場所でも稚ナマコの発見は困難であり,より大きな制限条件が存在するという実態が浮き彫りとなった。そこで現在,北海道での稚ナマコの住み場条件の解明を目的に様々な調査を実施している。野外調査だけでなく,安定同位体比の測定といった化学的手法を用いてマナマコの餌料源の特定を目指し,条件解明の一助とするなど多角的なアプローチを試みている。また,天然の稚ナマコの発見が困難であっても,種苗放流された個体群の成長や季節移動を追跡するなどの代替手段により,北海道におけるマナマコの個体群動態の解明に向けて研究を進めている。そのために必要な体サイズの測定方法については,修士課程在学中に山口県で体サイズ測定の新基準である標準体長を提案したが,これを北海道でも有効に活用するため,標準体長の地域性の検討をおこない,北海道でも高い精度の体サイズ測定が可能であることを実証した。
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Research Products
(3 results)