2008 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性トンネル接合における次世代トンネルバリア材料の探求
Project/Area Number |
07J01159
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 利映 Osaka University, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | spintronics / TMR / MTJ / MgO |
Research Abstract |
結晶MgOトンネル障壁を用いた磁気トンネル接合(MTJ)素子の巨大トンネル磁気抵抗(TMR)効果が2001年に理論予測され、2004年に実験的にも実現された。現在、CoFeB/MgO/CoFeB-MTJ素子を基本技術にしたハードディスク磁気ヘッドやMRAMの研究開発が現在精力的に進められているが,より高性能なMTJ素子を作製するための指針を検討するためには、MgO障壁MTJ素子におけるトンネル伝導詳細な物理の解明が不可欠となる。単結晶MgO(001)障壁を用いたエピタキシャルMTJ素子はスピン依存トンネルの物理を研究するためのモデル系であり,これまで私はそのTMRを測定することによってその研究を行ってきた。 高周波特性評価は、MTJ素子におけるスピン角運動量の流れを評価するための別の重要な手段であるが、スピントルクダイオード効果やスピン注入自励発振の報告がなされてきたのは多結晶CoFeB/MgO/CoFeB-MTJ系におけるものであり、単結晶MgO(001)障壁を用いたエピタキシャルMTJ素子においてはまだ実現されていなかった。トンネル伝導の物理の解明に向けた研究の一貫として、産業技術総合研究所で単結晶MgO(001)障壁を用いたエピタキシャルMTJ素子を作製し、Unite Mixte de Physique CNRS/ThalesでDr.Julie Grollierらの指導のもとその高周波特性評価に挑戦した。その結果、単結晶MgO(001)障壁を用いたエピタキシャルMTJ素子において初めてスピン注入自励発振に成功した。本研究の結果は、MgO障壁MTJ素子におけるスピン依存伝導の詳細な物理を解明するための重要な手掛かりとなるものであり、今後国内外の学会での発表と論文発表を行う予定である。
|
Research Products
(3 results)