2007 Fiscal Year Annual Research Report
政治および経済における交渉と協力:提携形成交渉ゲームでの提案者選択過程の分析
Project/Area Number |
07J01181
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川森 智彦 The University of Tokyo, 社会科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 提携交渉 / 提案者選択過程 / 長期的関係 / 効率性 |
Research Abstract |
意思決定主体が交渉を通じて提携を形成する「提携交渉」を2つの観点から分析した。 まず、提案者の選ばれ方を定めるプロトコルが提携交渉の結果の効率性に与える影響を分析した。具体的には、前ラウンドで提案を拒否したプレイヤーが誰であるかに依存して、今ラウンドで各プレイヤーが提案者になる確率が決まってくるモデルを提示した。このモデルにおいて効率的な(全体提携(全プレイヤーからなる提携)が初期のラウンドで形成される)定常部分ゲーム完全均衡SSPEが存在するための必要十分条件を求めた。この条件から、ある仮定の下で、「前ラウンドで提案を拒否したプレイヤーが次のラウンドで提案者になる確率が高いほど、効率的なSSPEが存在し難い」ということが導かれる。本研究は、1編の論文としてまとめ、査読誌International Journal of Game Theoryに投稿し、英語表現についての改訂要求を受けているところである。 次に、意思決定主体が長期的関係で結ばれている時の提携交渉を、提携交渉が繰り返し行われるゲームとして分析した。具体的には、1つの提携が形成されると、しばらくしてそれが解消され、また新たな提携形成を巡って交渉が行われるというモデルを提示した。このモデルにおいて、効率的な(繰り返される各提携交渉において、全体提携が初期のラウンドで形成される)SSPEが存在するための必要十分条件を求めた。この条件から、「各プレイヤーが将来の提携交渉を重視すればするほど、効率的なSSPEが存在しやすい」ということが導かれる(定常均衡を考えているため、この結論は、繰り返しゲームにおける協調のロジックとは異なる理由による)。本研究をまとめた論文は、査読誌物Nathematical Social Sciencesに公刊された(受理は2007年度中)。
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Research Products
(1 results)