2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01210
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 陽子 The University of Tokyo, 社会科学研究所, 特別研究員PD
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Keywords | 雇用調整 |
Research Abstract |
2009年は希望退職が急増し2000年代最も希望退職が実施された200社に次いで、191社の希望退職実施が確認されている。そこで、2009年のデータも加えた上で実証分析するべきであると判断し、昨年度完成させたデータセットに2009年の希望退職実施データを追加する作業を行った。具体的には、有価証券報告書から経常利益などの財務データを入力し、東京商工リサーチの「希望退職募集状況調査」から、希望退職、早期退職優遇についての各企業の詳細情報の入力作業を行った。この作業によって、1997年から2009年までの13年分の希望退職実施企業、非実施企業についてのパネルデータが完成した。 現在、このデータを利用し、希望退職の実施は企業の生産性(全要素生産性、労働生産性)を高めるか、また、希望退職の実施タイミング(黒字、赤字、二期連続赤字の3つのタイミング)によって、生産性の上昇度合いに違いがあるかを実証分析している。 さらに、徳井・牧野・高橋(2009)において、自営業者の労働市場からの退出(廃業)がマクロの全要素生産性に与える影響について実証分析を行った。自営業は1980年代以降に顕著に減少しつつあり、またそれと同時に自営業所得の雇用者所得は雇用者に比して相対的に低下している。 まず、自営業者の労働生産性の水準(対雇用者との相対的な比率)の計測を試みた。具体的には1981年から2000年における『工業統計表』個票を利用した生産関数の推定し、自営業者(自営業主+家族従業者)と雇用者の生産性格差を計測した。その結果、男性・雇用者と比較した場合、1)男性・自営業者の生産性の方が有意に高い、2)女性・自営業者の生産性については有意な格差が認められない、ということを確認した。 計測された自営業者の生産性格差を製造業の労働投入指数、労働の質指数を再推計すると、これまでに推計されている労働の質は、1970-2002年における伸び率で見ると0.43%ポイントほど下方修正される。その結果、TFP上昇率は0.4%ポイント程度過小評価されていた、ということが分かった。
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Research Products
(1 results)