2008 Fiscal Year Annual Research Report
次世代の磁気圏探査に向けた中間エネルギープラズマ粒子分析器の開発
Project/Area Number |
07J01222
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笠原 慧 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 宇宙プラズマ / 中間エネルギー |
Research Abstract |
次世代の磁気圏探査に向けた,中間エネルギー帯のイオン(10-200keV/q)と電子(5-80keV)を計測する分析器の開発が私の課題である.特に今年度は,放射線帯における電子計測を念頭に置いた基礎開発を行った,放射線帯においては,100keVから数MeVのエネルギーレンジの電子がセンサー外壁を貫通して検出器に到達し,背景雑音を生んでしまう.そして通常その計数率は計測対象(中間エネルギー電子)の計数率と同程度以上になるため,特別な対策が必要である.そこで私は,アバランシェフォトダイオード(APD)と静電分析器を組み合わせる事によって,放射線帯における高エネルギー電子入射による背景雑音を除去する手法を考案した.APDと静電分析器は独立に電子のエネルギーを計測するため,2つのエネルギー情報が一致しないときには検出信号が雑音であると判断できる.ただし,高エネルギー電子による偽の信号であっても,ある有限の確率で2つのエネルギー情報が一致してしまい,真の信号と誤認されてしまう事もある.そこで私は,室内実験結果および数値シミュレーションを用いてこの手法の効果を定量的に評価し,実際に雑音の計数率を一桁程度低減させられる事を示した.ここまではAPDを中間エネルギー電子計測に用いてきたが,将来的には計測エネルギー領域を1keV以下にまで拡張したい.しかし現在の使用法では,APD入射面に存在する不感層で低エネルギー電子は止まってしまうため,有意な信号を発生させない.そこで私は,APD入射面に数kVの高電圧を印加することで低エネルギー電子を計測する事を考えた.電圧による放電や電気的雑音増大などの問題が懸念されたが,実験室において試験を行ったところ,そのような問題はなく低エネルギー電子を検出する事に成功した.
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Research Products
(6 results)