2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本語の構文現象に関する理論的・実証的研究-授受構文とその関連構文を中心として
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07J01237
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 淳 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 授受構文 / 移動構文 / 他動詞構文 / 認知言語学 / 構文文法 / 文法化 / ダイクシス / 視点と主観性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本語の授受構文を、その関連構文を視野に入れつつ体系的・実証的に分析し、その意味的・統語的・語用論的特性を明らかにすることである。具体的には、授受構文現象の特性を、内省による言語直観に加え、大規模コーパスのデータに基づく詳細な事実観察から明らかにすると共に、その現象の背後に潜む認知的・機能的メカニズムを探ることによって、記述言語学、理論言語学の両面への貢献を目指すものである。 本年度(2007年度)は、中核的な研究テーマである日本語の授受構文を主たる分析対象に据え、さらに、「てくる」、「ていく」等の移動構文や他動詞文などの関連現象を取り上げ、認知言語学・構文文法の枠組みから考察を行った。ここでは、「てくれる」構文の恩恵性、「てあげる」構文の格表示、「てくる」「ていく」構文の多義性、介在性の他動詞文の構文的意味、等のテーマを取り上げ、日本語の授受構文とその周辺構文に関して理論と記述の双方の観点から分析を行った。本研究の分析によって、ダイクシスと視点の定式化、文法化パターンを支配する認知的・機能論的原理、認知プロセスと構文的意味との関係、といった理論的・一般的な問題に対しても、一つの切り口を示すことができたものと思われる。その成果は、国内外での発表、学会誌、紀要、等にて公表する機会を得た。 次年度(2008年度)は、本年度の研究成果をさらに深化・発展させるべく、授受構文や移動構文に見られる文法カテゴリーの連続性(ないしは、文法化)といった動的な拡張の側面に注目した分析を行うと共に、英語をはじめとする他言語との比較分析(「てあげる」構文と英語の受益二重目的語構文の比較分析、日英語の介在性の他動詞文の比較分析、等)や、標準語と方言の授受構文の比較分析を行っていく予定である。
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Research Products
(12 results)