2007 Fiscal Year Annual Research Report
多文化社会におけるシティズンシップ理論とその制度像
Project/Area Number |
07J01239
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦山 聖子 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多文化主義 / カナダ / 移民政策 |
Research Abstract |
本年度は、英米圏の政治哲学における多文化主義論およびグローバルな分配的正義をめぐる理論について主に研究を行った。同時に、具体的制度像についての研究の一環として、多文化主義を採用するカナダの政治制度の基礎およびその移民政策、現実の多文化主義政策をめぐる政治状況、問題点についても研究を進めた。 まず、4月下旬にカナダの政治哲学者、Will Kymlickaの多文化主義論と公用語政策について検討した論文が公刊された。これは2005年度に東京大学大学院法学政治学研究科に提出した修士論文を修正・改稿したものであり、修士課程から博士課程一年次にかけて行ってきた研究の一応の成果である。この論文を元に、7月に東京法哲学研究会例会においてWill Kymlickaの多文化主義論について報告を行った。 8月以降は、カナダのクィーンズ大学哲学科において、Will Kymlicka教授のご指導の下、博士論文の基礎となる研究を行ってきた。滞在中、法哲学・政治哲学面では、Will Kymlicka教授およびMargaret Moore教授)演習を聴講し、博士論文において中心的に扱うことになる国際的な経済格差に対する政治哲学的アプローチや多文化主義政策と分配的正義の関係について研究の手がかりを得た。 さらに、両教授の個人的なご指導を通して、多くの英米圏を代表する政治哲学者の近年の移民政策をめぐる議論について講読・検討を進めることができた。このうち、Joseph Carensの議論の検討を中核として、博士論文の序章を書き始めている。さらに、カナダ研究奨励事業を行っているICCS(International Council for Canadian Studies)が外国人研究者を対象として開催したカナダ研究に関するセミナーに参加し、カナダ政治学における最新の論争についても理解を深めることができたと思う。
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Research Products
(2 results)