2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01242
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木場 礼子 Kyoto University, 霊長類研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ニホンザル / 視覚弁別 / 性 / オペラント条件付け / 同種他個体 / 顔 / 臀部 / 認知 |
Research Abstract |
社会的グループで生活する霊長類にとって、顔は重要な部位であると言われているが、ヒト以外の霊長類を対象に、顔で性弁別ができるかはこれまで明らかになっていなかった。特にニホンザルの顔や尻は発情期には顕著に赤くなり、性的に特徴のある部位と考えらている。当該年度は、ニホンザルを対象に、見知らぬ同種他個体の顔や尻の写真を手掛かりとして性のカテゴリーに基づいた弁別ができるかを検証した。 オス2頭、メス3頭のニホンザルを対象に、オペラント条件付け用いた弁別訓練を実施した。全身写真(60枚)を用いて、タッチパネル付きモニターに呈示された刺激がオスならば左のキーを、メスならば右のキーを選択した場合を正解とした課題の訓練をおこなった。訓練刺激の正答率が85%を超えたオス1頭、メス2頭を対象に、新奇個体の顔・尻写真を用いて般化テストをおこなった。般化テストでは、顔・尻を手掛かりにサルは同種他個体の雌雄を区別できるのかを検証すると同時に、訓練刺激(全身写真)とは異なる部位(顔・尻)で般化が見られるかを検証することにより、刺激の類似性ではなく性のコンセプトに基づいた弁別が形成されていたかを検討した。般化テストの結果、サルは訓練をしていない顔・尻写真に対して般化を示した。この結果から、顔や尻の部位から雌雄の区別をできること、また、単なる刺激の類似性だけではなく、性のカテゴリーに基づいた弁別をしていた可能性が示唆された。以上の結果は、ヒト以外の霊長類を対象に、同種他個体の性別を顔・尻の部位から視覚的に弁別できることを視覚性弁別実験を用いて初めて明らかにしたものである。
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Research Products
(3 results)