2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01242
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
木場 礼子 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所モデル動物開発部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ニホンザル / 視覚弁別 / 性 / オペラント条件付け / 同種他個体 / 顔 / 認知 |
Research Abstract |
複雑な社会的グループで生活している霊長類にとって、他のメンバーを認識することは、生存、繁殖の上で必要な認知能力である。なかでも性の認識は、繁殖成功の面において霊長類にとって重要な役割を果たすと考えられる。社会的グループで生活する霊長類にとって、顔は重要な部位であると言われているが、ヒト以外の霊長類を対象に、顔で性弁別ができるかはこれまで明らかになっていなかった。そこで、ニホンザルを対象に、他個体の性をどのように識別しているかを検証することを目的に本研究をおこなった。本年度は、2頭のニホンザルを対象に、オペラント条件付け課題を用い、タッチパネル付きモニターに呈示された刺激写真に応じて反応を振り分けることを学習させた。60cm×60cm×90cmの実験箱に対象個体をいれ、タッチパネル付きのモニターに呈示された訓練用刺激写真がオスならば左のキーを、メスならば右のキーを選択した場合を正解とする2-choice sex categorization taskをおこなった。60枚の顔写真(オス30枚、メス30枚)で課題を訓練した後、新奇顔写真40枚(オス20枚、メス20枚)で般化テストをおこなった。その結果、訓練をしていない新奇個体の顔写真に対して般化がみられた。すなわち、ニホンザルは同種他個体の顔から雌雄の区別ができる可能性が示唆された。次に、サルの顔の特徴に性差があるのかを検討するために、顔写真の画像計測をおこなった。その結果、ニホンザルの顔では上顎や口の周り、顔上部の輪郭に性差がみられた。さらに、画像計測から得られた顔の形態的特徴が性弁別の手掛りとなっているか、モーフィング刺激を用いて検討した。オス顔をメスの形態へと変形させたところ、オス反応率が下がり、顔の形態情報が性弁別の手掛りとして用いられている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)