2007 Fiscal Year Annual Research Report
グラフト重合を用いたバイオ燃料電池材料システムの開発
Project/Area Number |
07J01299
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田巻 孝敬 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | バイオ燃料電池 / レドックスポリマー / 酵素反応 / グラフト重合 / カーボン / 表面改質 / バイオセンサー / 反応拡散方程式 |
Research Abstract |
バイオ燃料電池の作動電圧の増加へ向けてメディエータを変更するために、ラジカル重合によるグラフト重合では直接固定化することができないヒドロキノン(HQ)を、グラフトポリマーへ固定化する手法を開発した。まず、リニアポリマーでの評価より、HQをポリマー骨格へ固定化するスペーサーとして、エチレンジオキサイド鎖の親水的スペーサーを用いた場合でのみ、グルコースオキシダーゼ(GOD)から電極への電子伝達がおこることを示した。また、カーボン表面ヘグラフト重合したポリマーの側鎖との反応により親水的スペーサーを介してHQを固定化し、グラフトポリマーへ固定化したHQがGODから電極への電子伝達反応を行うことを示した。従来のビニルフェロセンに代わりHQを用いることで、メディエータの酸化還元電位に応じて酸化電流が得られる電位が0.2V程度negativeにシフトする一方で、本研究で提案した酵素電極では、メディエータの種類によらず高い酸化電流密度が得られることを示した。 また、酵素電極での反応拡散過程である、酵素反応、メディエータ間の電子伝達、基質の拡散の過程を考慮したモデルを構築した。モデルを用いた速度パラメータの検討から、本研究で提案した電極構造では、見かけの電子拡散係数が低いレドックスポリマーを用いてもレドックスポリマーの電子伝達は律速段階とならないことが示された。また、本電極構造では、電流密度が酵素とメディエータの二次反応速度定数に依存しない領域が生じ、酵素との二次反応速度定数が高いメディエータを開発しなくても、高い電流密度が得られることを示した。さらに、酵素の投影面積あたりの固定化密度、および酵素の基質酸化反応におけるターンオーバー数の増加により電流密度が増加し、既存の直接メタノール型燃料電池と比べ得る性能がバイオ燃料電池で得られることを示した。
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Research Products
(6 results)