2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属イオン担持アパタイトを用いた有機・無機複合化薬物担体の開発
Project/Area Number |
07J01318
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
利根川 亨 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バイオマテリアル / ハイドロキシアパタイト / ドラッグデリバリーシステム / 薬物担体材料 / タンパク質吸着 |
Research Abstract |
薬物徐放性を得るために多孔質粒子の細孔分布制御とタンパク質の吸着条件の最適化を目的として実験を行った。 水酸アパタイトと金属イオン含有水酸アパタイトは湿式法で合成した。多孔質粒子はスプレイドライを用いて作製した。作製条件の濃度、噴霧圧を制御することにより細孔分布の変化が確認された。その分布は20〜60nmであった。また粒子サイズは、平均粒子径2.5〜30μmの粒子の作製に成功した。 タンパク質の吸着では、結晶子サイズや添加した金属イオンの影響を観察するために、合成温度や金属イオン濃度の異なる水酸アパタイトを作製し、等電点、分子量の異なる6種類のタンパク質を用いてタンパク質吸着実験を行った。 吸着実験の結果、純粋な水酸アパタイトでは、単位面積当りの吸着量は、合成温度に従い上昇したが、単位重量当りの吸着量では40度で合成したものが最も高い吸着量を示すことがわかった。また、タンパク質との相互作用の指標となる吸着平衡定数はすべてのタンパク質で合成温度の高いものほど高いことがわかった。亜鉛イオンを含有した水酸アパタイトでは、単位面積当たりの吸着量は、合成温度に従い上昇するが、特に60度以上で大きく吸着量が増加した。単位重量当りの吸着量では純粋なアパタイトのようにピークは持たず、合成温度による差は見られなかった。吸着平衡定数は、純粋なアパタイトど同様に合成温度に従いすべてのタンパク質で上昇した。 また、亜鉛イオン濃度の異なるものの吸着実験では吸着平衡定数が変化することが確認された。亜鉛イオンを0.1〜0.5molを添加した水酸アパタイトでは、酸性タンパク質、中性タンパク質との吸着平衡定数は高くなっており、塩基性タンパク質では弱くなっている。しかし、亜鉛イオンを1mol含有させたものでは、すべてのタンパク質において相互作用が弱くなった。これらの結果からタンパク質との相互作用を制御できることがわかった。今後、これら相互作用とタンパク質放出性の関係を検討する。
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Research Products
(5 results)