2007 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管内皮細胞・マクロファージを抗血管新生ワクチンとして用いた癌免疫療法の開発
Project/Area Number |
07J01334
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大梶 祐頼 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 血管新生 / 血管内皮細胞 / マクロファージ / 免疫療法 / ワクチン / 悪性腫瘍 / 遺伝子発現 / 臨床治験 |
Research Abstract |
本研究では、以前、腫瘍血管を標的とする血管内皮細胞ワクチンを動物モデルにて開発した。今年度は、同ワクチンの臨床的な安全性および有用性について検討するために、末期癌患者を対象とする臨床治験を行い、同ワクチンの投与による副作用・免疫学的反応・抗腫瘍効果の有無について検討した。その結果、以下の新知見を得ることができた。すなわち、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)のワクチンは、(1)副作用を伴うことなく、(2)特異的な細胞性および液性免疫反応を誘導し、(3)再発性悪性脳腫瘍に罹患している一部の患者では、優位な腫瘍抑制効果を発揮し得ることが判明した。研究員は、上記プロジェクトに積極的に参加し、中心的な役割を果たした。すなわち、内皮細胞ワクチンを作成し、患者の血液サンプルを用いてin vitro実験による免疫反応の評価を行い、実験的および臨床的データを解析した。また、上記プロジェクトの成果を海外の学会誌で発表した。 本研究では、上記プロジェクトの成果を踏まえて、より有効かつ特異的な抗血管新生ワクチンを目指して、正常組織および腫瘍組織より分離した血管内皮細胞およびマクロファージの特徴についての検討を進めている。今年度は、検討するために必要な準備を行い、必要な技術の取得に専念した。すなわち、マウスのさまざまな正常組織(脳、大腸など)およびマウスの皮下に移植したヒト癌細胞株(大腸癌細胞株HT-29,膠芽腫細胞株U87MGなど)による腫瘍結節を用いて、セルソータによる特異的かつ効果的な細胞分離法の条件設定について検討した。また、分離した細胞の遺伝子発現パターンの解析が必要とするmRNAの分離法、BioanalyzerによるRNAの測定法、Real-time RT-PCR法、cDNA microarray法などの技術の習得を行った。来年度は、分離した血管内皮細胞およびマクロファージを上記技術により解析する予定である。
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Research Products
(4 results)