2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管内皮細胞・マクロファージを抗血管新生ワクチンとして用いた癌免疫療法の開発
Project/Area Number |
07J01334
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大梶 祐頼 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 血管新生 / 単球 / マクロファージ / 免疫療法 / セルソーター / 悪性腫瘍 / 遺伝子発現 / Real-time PCR |
Research Abstract |
本研究は、以前、腫瘍血管を標的とする血管内皮細胞ワクチン療法の臨床的安全性および有用性を検討するために、動物モデルの検討を踏まえ、末期癌患者を対象とする臨床治験を行った。その結果、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)のワクチンは、(1)明らかな副作用を伴うことなく、(2)特異的な細胞性および液性免疫反応を誘導し、(3)再発性悪性脳腫瘍に罹患している一部の患者においては、優意な腫瘍抑制効果を発揮し得ることが判明した。研究員は、上記プロジェクトの成果を踏まえて、より有効かつ特異的な抗血管新生療法および抗腫瘍免疫療法を目指して、正常組織および腫瘍組織より分離したマクロファージの特徴について検討を進めている。今年度は、ヒト単球を用いた、腫瘍組織中のマクロファージ(TAMs)のin vitroモデルを作製し、cDNA microarrayを用いて同細胞の遺伝子発現のパターンを検索した後、Real-time PCR法を用いて、遺伝子発現の時間的変化について検討を行った。その結果、発現を測定した約3万個の遺伝子のうち、腫瘍組織中のマクロファージの数十個の遺伝子の発現が、正常マクロファージのそれとは異なることが判明した。また、ヒト大腸癌(human colorectal adenocarcinoma)細胞株あるいはヒト神経膠芽腫(human glioblastoma)細胞株を用いて誘導した腫瘍組織中のマクロファージのそれぞれの遺伝子発現パターンが異なる特徴を示したことから、腫瘍組織中のマクロファージが腫瘍の血管新生および癌免疫に及ぼす影響については、腫瘍のタイプに合わせて考える必要があると示唆された。腫瘍に特異的な遺伝子発現の特徴に関する上記の解明は、腫瘍生物学および免疫学の分野においては、有意義なものであるため、今後、新たな癌の免疫療法や腫瘍血管新生を標的とする治療法の開発に活用されると考えられる。
|
Research Products
(1 results)