2007 Fiscal Year Annual Research Report
シスタチオニンγ-シンターゼ遺伝子の新生ポリペプチドを介した翻訳停止機構の研究
Project/Area Number |
07J01372
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川崎 大輔 Hokkaido University, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒメツリガネゴケ / シロイヌナズナ / シスタチオニンγ-シンターゼ / 翻訳停止 / mRNA分解 / S-アデノシルメチオニン / リボソーム / 分子生物学 |
Research Abstract |
植物のシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)遺伝子では,新生ペプチドが作用して翻訳が停止し,それに伴ってmRNAが分解される.このような翻訳停止と共役したmRNA分解による制御は他に例がない.これまで,新生ペプチドがリボソーム内部と相互作用し翻訳を停止させる可能性が示唆されている.そこで,本研究では翻訳停止時の新生ペプチドとリボソームの関係を明らかにすることを目的としている.今年度は以下の成果を得た. 1.翻訳停止時,リボソームのP,A部位に位置するコドンはヒメツリガネゴケとシロイヌナズナでは異なっている.それぞれのCGS遺伝子は他方のリボソームでは翻訳停止が起こりにくくなったことから,それぞれのリボソームでは構造が異なり,翻訳停止にはこれらの配列が適合するのではないかと考えた.しかし,その配列を置換して翻訳停止の効果を解析すると,どちらの遺伝子の場合もシロイヌナズナ型の配列で強く翻訳停止が起こることがわかった. 2.遺伝学的アプローチに関しては,突然変異を誘起する形質転換体の作出に向け,導入遺伝子の構築を行っている.当初,CGSの前後に蛍光タンパク質をもつ融合遺伝子を用い,蛍光を指標として翻訳停止が不全になった株を分離する予定であった.しかし,この融合遺伝子は非常に長いため翻訳に時間がかかり,翻訳停止の状態を蛍光が正確に反映しないことが疑われた.そこで上流の蛍光タンパク質を,低分子量の分子プローブ結合サイトに置換することによって,問題を解決するに至った. 3.翻訳停止の分子機構の解明には,試験管内での解析が不可欠である.そこで,ヒメツリガネゴケの脱液胞化プロトプラスト抽出液の無細胞翻訳系の開発を行った.パーコールを用いた密度勾配遠心法によって,脱液胞化プロトプラストの分離に成功した.
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Research Products
(3 results)