2008 Fiscal Year Annual Research Report
シスタチオニンγ-シンターゼ遺伝子の新生ポリペプチドを介した翻訳停止機構の研究
Project/Area Number |
07J01372
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川崎 大輔 Hokkaido University, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒメツリガネゴケ / シロイヌナズナ / シスタチオニンγ-シンターゼ / 翻訳停止 / mRNA分解 / S-アデノシルメチオニン / リボソーム / 分子生物学 |
Research Abstract |
植物のシスタチオニンγ-シンクーゼ(CGS)遺伝子では,新生ペプチドが作用して翻訳が一時停止し,それに伴ってmRNAが分解される.このような翻訳停止と共役したmRNA分解による制御は他に例がない.そこで,本研究では翻訳停止の詳細な分子メカニズムを明らかにすることを目的としている.今年度に得た成果は以下の通りである. 1.翻訳停止時にリボソームのP site,A siteに位置するアミノ酸は,翻訳の停止に重要であることが示されているが,シロイヌナズナとヒメツリガネゴケではこの位置のアミノ酸配列は異なっている.ての違いは両者のリボソームの構造の違いに起因するのではないかと考え,ヒメツリガネゴケの一過的発現系を用いてアミノ酸置換などの効果を解析した.しかし,この系では置換による有意な違いを検出できなかった.原因として,この系は翻訳停止後のmRNA分解による発現の減少をより強く反映しており翻訳停止を正確に評価できないからであると考えられるため,今後は翻訳停止のみを詳細に解析できる試験管内翻訳系をヒメツリガネゴケから調製し解析を行う. 2.遺伝学的アプローチに関しては,突然変異誘起処理を行うヒメツリガネゴケの形質転換体を作出している.また,突然変異株のスクリーニングは導入遺伝子に由来する蛍光強度を指標として行う予定であるが,そのための条件検討(蛍光色素の選択,ヒメツリガネゴケの栽培条件など)を行っている. 3.シロイヌナズナCGSは主に転写後の段階で発現が制御されている.しかし,CGS mRNA量の経時的解析により,ヒメツリガネゴケではシロイヌナズナよりも強く転写段階で制御されている可能性を示唆する結果を得た.
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Research Products
(4 results)