2009 Fiscal Year Annual Research Report
シスタチオニンγ-シンターゼ遺伝子の新生ポリペプチドを介した翻訳停止機構の研究
Project/Area Number |
07J01372
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川崎 大輔 Hokkaido University, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒメツリガネゴケ / シロイヌナズナ / シスタチオニンγ-シンターゼ / 翻訳停止 / mRNA分解 / S-アデノシルメチオニン / リボソーム / 分子生物学 |
Research Abstract |
植物のシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)遺伝子では,新生ペプチドが作用して翻訳中のリボソームが一時的に停止し,それと共役してmRNAが分解される.このような翻訳停止に伴うmRNA分解による制御は他に例がない.そこで,本研究では翻訳停止とmRNA分解の分子メカニズムを明らかにすることを目的としている.今年度得た結果は次の通りである. 1.翻訳停止時にリボソームのP部位,A部位に位置するアミノ酸は,翻訳の停止に重要であることが示されているが,ヒメツリガネゴケとシロイヌナズナではこの位置のアミノ酸配列は異なっている.リボソームやその他の翻訳因子が両者の系で異なることが,この違いを生んでいるのではないかと考え,シロイヌナズナの一過的発現系と試験管内翻訳系,ヒメツリガネゴケの一過的発現系を用いた解析を行い,系による違いを比較した.その結果,P部位,A部位に位置するコドンだけではなく,その前後のコドンも制御の強さに影響を与えることが示唆され,現在詳細な解析を行っている. 2.一般的なRNA分解やRNA品質管理を行う場としてP bodyという構造体が知られているが,CGS mRNA分解にP bodyが関与するかを調べるためにバイオイメージング法によるアプローチを試みている.P bodyの構成因子とCGS mRNAを可視化させるための形質転換株の作出を行った.薬剤耐性や導入した蛍光プローブを指標とした選抜を行い,PCRによる導入遺伝子の確認を行っている.導入遺伝子は過剰発現プロモーターを用いる設計としたが,過剰発現プロモーターよりもネイティブプロモーターによる制御の方が細胞内観察が容易にできる可能性を示唆する結果を得たため,内在の遺伝子に蛍光タンパク質遺伝子をノックインする方法も同時に行うこととした.
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Research Products
(1 results)